2020年10月17日土曜日

秋を拾い集め、味わい、楽しむ どんぐりの授業

今月に入ってから、どんぐりの授業を楽しんだ。

まずはどんぐり集め。どんぐりの一覧が描かれたイラストを頼りに、校内にあるどんぐりを拾い集める。
種類の判別は、形と大きさ、それに帽子の形状もポイントになる。
「どんぐり」とひとくちに言っても、校内にはまるまるとした͡クヌギもあれば、スマートなマテバシイ、それに小柄なシラカシ、コナラ、忘れてはいけない栗。様々などんぐりが落ちている。
なんていかにもどんぐりに詳しいふうに書いたけれど、僕も子どもたちと同じく、イラストを頼りに拾ったどんぐりの形や大きさ、帽子の形状をもとにその種類を判別したのだ。クヌギなのかアベマキなのかは実はよく分かっていない。

秋らしい高い空のしたで、子どもたちが木々に見守られながら、その足元のどんぐりを拾い集める姿は、なんとも平和で、心が穏やかになる。仕事についていろいろな悩みはいつでもついて回るけれども、この景色のなかの子どもたちを見たら、すべてを呑み込んで、溌溂と彼らと向かい合いたいと思える。日なたは温かく、それでもずいぶんと涼しくなった風が子どもたちにふく。子どもたちはどんぐり拾いに夢中で、風の涼しさには気づかない。季節の変化に敏感なのは、季節の傍にいるなのかもしれない。季節の真ん中にいる子どもたちは、それをあまり気にしていない。

どんぐりのなかでも特にマテバシイはとっておきだ。「待てばシイの実のようにおいしくなる」が名前の語源だという説もあるらしい。少しでレンジで温めると、少し苦みのある歯ごたえを感じる栗のような味と食感を楽しめる。
苦みに舌を出す子どももいた。「それが秋です」となんとも理不尽なことを言うと、なんとなく通じたのか、笑顔になった。みんなでいっしょに秋を味わうことができた。

週のはじめは、ため込んだどんぐりでたっぷり工作を楽しんだ。前日に煮沸消毒をしたら、部屋中がアクの苦みでいっぱいになって、参ってしまった。
きりを使って頭に穴をあけ、そこに楊枝をさせば、どんぐりゴマのできあがり。白いペンと名前ペンでトトロ。ここまでは僕が教えたけれど、楊枝とペンで子どもたちは様々なものを生みだしていた。

その後の算数の授業では、引き出しの中からコマを出していじりだす子がいて、「だめだよ。しまっておくれ。」と注意した。直後に別の子が同じことをしだして、苦笑い。いや、うれしくて笑う。そりゃ算数より自分の作ったコマで飽きるまで遊びたいよね。それでいいと思う。本気で怒ったりしないよ。きっと子供もそれを分かっている。
朴訥としたどんぐりの授業だった。それで何が身に着いたのとか簡単に言葉で表せないんだけれど、簡単に言葉で表せないことを日々積み重ねていくことが、長い目で見れば子どものこれからを豊かにしていくと思う。