2022年7月17日日曜日

黙食について

 いまだ黙食が続いている。

行事などは一定の工夫と配慮をしながらすすめているけれど、そもそもの毎日の生活では、まだまだ慎重な感じなのだ。
様々な意見があるだろうけれど、様々な意見が混ざり合い生活する場では、慎重な選択にならざるを得ないことを、特にこの数年は実感している。意見の狭間に立ち続け、疲弊している。それに、大人の選択の結果、子どもが意見の狭間の当事者になってしまって傷つくことはなんとか避けたい。
社会的合意を辛抱強く待つ。それを弱気だと責められることにも、「だから学校は…教員は…」と侮辱されることにもすでに慣れてしまった。
いまだ黙食が続いている、から始まる愉快なことを書こうとしたけれど、ちょっと吐き出したかったことがあふれてしまった。

2022年7月16日土曜日

中町さん・パラアスリート花岡さん「障害について」の授業

 今週初め、パラスイマーで50m背泳ぎの日本記録保持者の花岡恵梨香さんと、昨年まで江戸川区役所や都庁でパラスポーツに携わってきた中町佑介さんに、障害についての授業をしてもらいました。

 

まずは座学。中町さんから講義を受けました。

障害(バリア)の個人モデルと社会モデルについてや、アンコンシャス・バイアス(思い込み)についてを、事例を用いてとても分かりやすく教えてくれました。

分かりやすいけれど、過度に子ども扱いもされてない話で、それが子どもたちに届いていくのが分かりました。いや、子どもたちだけでなく、僕を含めた大人にもしっかり届きました。

授業後に聴講していた教員たちが、「すごくいい話だった。考えさせられた」と、一様に感銘を受けていたことが印象的でした。

「社会がバリアを作っているならなくすこともできるのです。バリアをなくしてよりよい社会を作りたいと思います。今あるバリアで困っている人がいたら助けてあげたり、助けを求められるように、積極的にがんばりたいと思いました」(子どもの感想より)

 

そして、次はいよいよ花岡さんと一緒に泳ぎます。

実際に僕も一緒に泳ぎました。

圧巻です。

本当に圧巻です。

まったくお話にならないくらい速い。

とにかく速い。

実際にいっしょに泳いでみると、プールサイドで見ていたより、圧倒的に速い。

最初のひとかきの時点で、もう取り返しのつかない差がついているって、いったいどういうことでしょうか。

ただただ圧倒的に速い。

あとでその感想を花岡さんに伝えると「まあ、日本記録持っていますから」とひとこと。

ですよね。そうですよね。

「まるで水をあやつっているようで、1人の選手として本当にあこがれてしまう」「やっぱりすごく速くてかっこいいなと思いました」(子どもの感想より)

 

障害者としてではなく、ひとりのアスリートへの畏敬の念を子どもたちも僕も持ちました。それは、「障害者だから」「○○だから」という言葉をつけないで、素直に感じてほしいという中町さんの言葉が腑に落ちる経験でした。

授業の終わりに花岡さんからのメッセージを聞いているときに、花岡さんを「障害者の花岡さん」と見ている子はおそらくいなかったでしょう。ただただ「花岡さん」の言葉を子どもたちは受け取っていました。

 

僕にとっては打ち合わせのときから気づくことの多い今回の授業で、自分のために本当にやってよかった授業でした。

子どもたちにとっても間違いなく素晴らしい時間で、できれば僕も子どものころに受けたい授業でした。

気さくでかっこいい花岡さんに、熱い中町さん。最高の2人でした。

 

中町さんは、いや中町は麻布中学、高校の後輩。文化祭や運動会の実行委員でいっしょで、先輩を立てる気の利くやつで、あれから四半世紀後にこうしてまたおもしろいことを一緒にできたこともうれしかったです。こうして振り返って結構感動しています。

 

花岡さん、中町さん、ありがとうございました!