2016年3月6日日曜日

楕円の哲学

一昨日の研究報告会の後の成田先生が話してくださった楕円の哲学が心に残っている。
楕円の哲学、その考えの源流は内村鑑三にあるそうだ。楕円は2つの中心を同時に持ちながら、1つの形として成り立っている。
内村はその2つの中心を神と人として考えたという。
そのように、一見すると距離が感じられたり、対立関係にあるものを、無理にひとまとめにすることはせず、お互いの存在を成立させたまま、つながりを持たせることを目指していく。そんなホリスティックな考え方と解釈した。

話を伺いながら、学部時代に大好きな鷲山先生から教えてもらったアウフヘーベンという言葉が浮かんでいた。
対立する2つの考えがあったとき、どちらかを採用するのではなく、2つを同時に成り立たせる、より高次の概念を創り上げる。そう習ったように思う。
楕円の哲学とアウフヘーベン、2つの考えは似ていると感じた。そういえば、成田先生と鷲山先生も、その佇まいは似ている。
急に今と学部時代がつながった気がした。

教員としての私の2つの中心は何になるのだろうか。
一斉教授とアクティブラーニング、不易と流行、伝統と革新、こだわりと柔軟さ。
様々な中心が見えてくる。どちらか、ではなく、どちらもを可能とするような、そんな楕円を描いていきたい。もしかすると、2つと言わず、さらに多くの中心を同時に存在させられるかもしれない。

振り返れば、教職大学院での学びは楕円の哲学を実感するものだったのかもしれない。異知が出会い、時にぶつかり、新しいものを創発し、内包していく。

終わってしまうことが寂しい。

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