2020年5月4日月曜日

うれしい

入学式が再延期になってしまった1年生に、入学を祝うささやかな式をオンラインで行うことにした。
そこで「小学校の歌(校歌)」を流すことにした。はじめはCDを流すことを考えたが、歌声を休校中の2年生から6年生までの子どもたちに募集し、パソコンで重ねて在校生からの合唱の贈り物にすることを音楽の教員が提案した。もちろん賛成し、いっしょに取り組むことにした。
緊急時の連絡の仕組みを使うことははばかられるので、ホームページにそのことを書いて掲載した。どんな思いで募集するか、丁寧に書いた。アイフォンの場合とアンドロイドの場合の音声のとり方も書いた。
それでも集まるか不安だった。ひとりで歌うこと、それを録音すること、メールに添付して送ること。それぞれハードルが高いと考えていた。やってみたい気持ちはあっても、実際にやることとは距離あるように思った。
掲載から1時間後に一通目の手紙がきた。6年生の男の子。1年生への簡単なメッセージが添えられたメールに添付された音声データを開く。美しい声だけれど、高音を苦しそうに、それでも一生懸命に歌っている。聞いていて涙がでてきた。うれしくて涙が出た。まだ会っていない、でも自分の学校に入ってくる1年生のために、12歳の男の子が、いっしょうけんめいに歌を録音して送ってきてくれたのだ。こういう心をこめたものに触れることに飢えていたのだろう。休校中にいくぶん学校を自分の中に美化しているのかもしれない。でも、僕のなかで学校という場所は、そういうあたたかさがところどころにある場所で、だから学校が好きなんだ。
彼が歌う姿を思い浮かべながら歌を聞くと、本当に心が震えた。
「10人集まれば合唱ぽく聞かせられますよ」そう音楽教員は言っていたが、1日半ですでに60人から歌声が届いてきた。あと1日でどれだけ集まるだろうか。もちろん、送りたくても送れない子もまた、まだ会えない1年生のことを思っているのだろう。
僕はあの子たちをほこりに思っている。尊敬している。早く会いたい。

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