夏休みだけれど、日直で出勤。
今日の中庭はいつも以上に暑い。
照り付ける太陽を思わず見上げる。
空の青さと雲の高さに驚く。
ふと、10年前に先輩教員がつぶやいたひとことがよみがえる。
それはある会議でのこと。
50年ぶりの校舎建て替えに向けた議論は大詰めを迎えていた。
「こうしたい」が自由に言える学校だから、「こうしたい」が合わさり計画は膨らんでいった。
2階建てだった校舎を3階建てにすることで、膨らんだ「こうしたい」を詰め込んだ新校舎が出来上がる予定だった。
そんなとき、冒頭のセリフを、ある先輩教員がつぶやいた。
「子どもたちは屋根の下だけで育つのだろうか?」
続けてつぶやく。
「3階建てになったら、中庭の日照はどうなるだろうか。僕たちは教室での学習だけを大切だと考えてきたのだろうか。そうではなくて、この中庭で子どもたちが自由に遊ぶ休み時間も、とても大切に考えてきたんじゃないだろうか。だとするならば、中庭の日照の問題をもっとしっかり考えなくてはいけないんじゃないか。」
はっと息を呑む音が聞こえた気がする。
「増やさなくてもいい教室を増やしているのかもしれない。もう一度、本当に必要な教室は何なのか、考え直しましょう。」
何年かかけて考えたことを、そこからまた何か月かかけて考え直した。その結果、新しい校舎も2階建てで建てることになった。
中庭に出ると、青空が広がる。
今日はいない子どもたちの姿を思い浮かべる。
子どもたちは、青空の下で、陽の光をいっぱいに浴びて、いつも遊んでいる。
それが僕の好きな、僕の学校の当たり前の光景だ。
「子どもたちは屋根の下だけで育つのだろうか?」
あのときのY先生のつぶやきが蘇る。
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