「あさおきたら だいすきな ちょこれーとの うみでおよいでた。うきわは どーなっつの うきわで びっくりしました。」
たまには実践(授業)の話。
1年生では毎年夏休みには絵日記の課題が出されている。
学校の文化である日記、その第一歩となる課題である。
今年はコロナの影響で、絵日記が書きたくなるような出来事がどの家庭でも少なくなるだろうと思い、例年よりも絵日記を課す枚数を減らし、その代わり「くうそうえにっき」をかかせることにした。
(普段の夏休みだって、家庭の状況により子どもの過ごし方はまちまちで、慮ることは必要。)
事前の授業では、みんなで大ぼら吹きを目指す活動をした。
「嘘をつくことをほらを吹くとも言います。今日はみんなで大ぼら吹きを目指そう。嘘をついて人をだますことは悪いことだけれど、今日は特別に何でもかんでもほらをふいてオーケーです。できるだけ大きく大きくほらをふこう。ただ、聞いた人が悲しくなったり、苦しくなったりするほらはやめてね。聞いた人が愉快になるような大ぼらを考えてみよう。」
ひとり、またひとりと手が挙がっていって、その日は大盛り上がり。
そんな活動を経て、夏の課題「くうそうえにっき」が子どもたちに課された。
そして提出された日記の書き出しが、冒頭の文章。傑作。
他にも、恐竜の時代に行ったり、犬になったり、あさがおの芽が開くと中からちょうちょが生まれたり、読んでいてたまらなくなる傑作ぞろいだった。
子どもたち自身も楽しんで取り組んだことが作品から伝わってくる。
予備にもう1枚、くうそうえにっき用のワークシートを配っていたが、クラスのほとんどの子が2枚の作品を仕上げていた。
読んでいてたまらなく楽しんだことは、興奮を隠さずに子どもたちに伝える。
文章を書いて表現することで、人の感情を動かすことを知ってもらいたいからだ。
そして、それぞれの作品にコメントを添えて返す。
僕だけが楽しむのではもったいない。コメントも僕のものだけでは、足りない。
子どもたちもお互いのくうそうえにっきを読み合った。
読んだ感想は付箋に書いて送り合う。そのときには「えんぱわーこめんと」を心がけるように伝えた。
「えんぱわーっていうのは相手を力づけることだよ。もらった相手が元気になるようなコメントを目指してみよう。」
このポジティブなフィードバックを送り合う活動は、とても意味のある活動だと思っていて、続けている。
(その活動についての報告はこちら。
https://www.u-gakugei.ac.jp/graduate/professional/upload/a_report_2019_17.pdf)
果たしてそれが1年生にもできるのか心配だったが、ほとんどの子が意図通りにポジティブなコメントを送っていた。繰り返していけばコメントの精度も上がっていくように思う。
何より、自分の作品を読んで、それに感想が来ることはうれしいものだ。
これから6年間、人によっては一生の習慣となるかもしれない日記の第一歩を、書くこと・読んで味わうこと・感想を受け取ることを通じて前向きに踏み出すことができたと思う。
最後にもう一編。ありっくとは僕のこと。
「あさおきたらありっくがでてきて そのまま こあらになった。そしてつぎにだんごになりました。そしてわたしがたべてしまったのです。ありっくだんごはわたしのおなかのなかでたすけてーといったのです。」
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